「2024年度第2四半期(中間期)決算」松田社長会見要旨
2024年10月30日
北陸電力株式会社
本日は、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
日頃、皆さまには、当社の事業運営に格別のご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。
元日の能登半島地震により甚大な被害を受けた能登地域ですが、先月の豪雨による浸水や土砂崩れ等により、人命も含め、甚大な被害が発生しております。
度重なる災害に私自身も胸が締め付けられる思いです。被災された皆さまに対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
元日の地震により当社グループの様々な電力設備が被害を受け、特に配電設備では、3,000本を超える電柱建替えが必要となる甚大な被害を受けました。これに加えて、今回の豪雨により新たに、電柱の損傷等で約800本の被害が発生しました。
これにより、能登地域を中心に、最大約6,500戸、延べ約11,000戸の停電が発生しました。まず、避難所や仮設住宅等の重要施設を最優先に電気を復旧し、その後も、道路アクセスの改善等に合わせて順次、停電復旧を進めてまいりました。現在は、土砂崩れ等による立入が困難な一部の地域を除き、停電は解消しています。
設備の仮復旧あるいは応急復旧は終わりましたが、この両災害からの復旧については、今後、自治体や関係機関と連携しながら、電柱の建替え等を行い、安定供給に支障を及ぼすことがないよう、着実に本格復旧を進めてまいります。
それでは、2024年度第2四半期決算について、お手元の資料に基づき順次説明させていただきます。
まず、お手元の資料「2024年度第2四半期(中間期)決算について」をご覧ください。
はじめにスライド1の「販売電力量」ですが、小売販売電力量は、116億3千万kWhと、前年同期に比べ2億7千万kWhの減少となりました。
これは、電灯において、本年も猛暑ではありましたが、昨年はもう一段暑い酷暑だったことから、前年に比べますと、冷房需要が減少したこと、これに加え、電力において、契約電力の減少、工場の稼働が減少したことなどにより、減少となりました。
卸販売電力量は、39億1千万kWhと、前年度に比べ22億6千万kWhの増加となりました。これは、卸電力取引所等への販売が増加したことによるものです。
この結果、総販売電力量は、155億3千万kWhと20億kWhの増加となりました。
次に、スライド2で「連結決算概要」について説明いたします。中段の表をご覧ください。
連結売上高は、4,203億円と、前年度に比べ123億円の増収となりました。これは、燃調収入の減少はあるものの、総販売電力量が増加したことなどによるものです。
連結経常利益は601億円と前年度に比べ98億円の減益、親会社株主に帰属する中間純利益は442億円と69億円の減益となり、2年ぶりの増収減益決算となりました。
なお、特別利益についてですが、近年の災害激甚化に伴い2021年4月に「災害等復旧費用の相互扶助制度」が創設されております。これは、全国の送配電事業者が、電力広域的運営推進機関へ資金を拠出・積立し、今回の能登地震のような災害が発生した場合に、他の送配電事業者の応援費用、および停電解消の仮復旧費用の一部について、積み立てられた拠出金を原資に交付金を受ける制度であります。
今回、上期として22億円が交付されましたので特別利益に計上しております。
続きまして、連結経常利益・中間純利益の変動に大きく影響している燃料調整のタイムラグについて説明いたします。スライド3「燃料諸元の価格推移について」をご覧ください。
当社主力の燃料諸元である「石炭」について、昨年度は価格が低下局面でありましたが、制度上燃調収入は遅れてくるため、その結果、時期ズレによる差益が大きく収支を持ち上げることとなりました。
対して、今年度においては、石炭価格が安定して推移し、時期ズレによる価格差が小さいということが分かります。
スライド4をご覧いただくと、差益の縮まり具合がお分かりになると思います。
具体的な数字としては、スライド5の連結経常利益の変動要因にありますように、昨年度のタイムラグ差益300億円と、今年度のタイムラグ差益20億円の差引である280億円程度、前年対比で悪化ということになります。
前年対比のこれ以外の悪化要因としては、発電設備に係る修繕費等の設備関連費増加により、20億円程度あります。
一方、好転要因として、水力発電量の増加により50億円程度、総販売電力量の増加により150億円程度、それぞれ好転しております。これらにより連結経常利益が601億円となりました。
次に、スライド6で「2024年度業績予想および配当予想」について説明いたします。
総販売電力量については、第2四半期決算までの増加を踏まえ、前回公表から20億kWh増加の310億kWhといたします。業績予想については、連結売上高は、総販売電力量の増加などから、600億円増の8,550億円、経常利益は、上期決算値と同水準の、前回から150億円増の600億円、親会社に帰属する当期純利益は、100億円増の450億円にそれぞれ上方修正いたします。
2024年度期末配当につきましては、当社の利益配分方針としている「株主のみなさまのご期待にお応えし続けていくとともに、経営基盤の安定・強化に資する内部留保の充実を図っていく」のもと、業績予想の上方修正に合わせ、1株あたり2円50銭増配の1株あたり10円に変更いたします。
次に、スライド7で、前回公表値連結経常利益450億円からの変動要因について説明いたします。
まず、好転要因として、概ね第2四半期決算までに確定した、水力発電量の増加により50億円程度、総販売電力量の増加により150億円程度、能登半島地震で被災の七尾大田火力発電所の早期復旧により50億円程度、それぞれ好転しております。
一方、燃料価格や市場価格等の上昇に伴う燃料費の増加により、100億円程度の影響を見込んでおります。
この点について、燃料価格をとりまく世界情勢を見てみますと、収束の兆しが見えないウクライナ情勢ですが、その緊迫度が増しております。さらに、イスラエル・アラブ情勢の悪化で緊張感が高まっており、益々、国際情勢の中での地政学リスクが上昇しております。
加えて、先日発表された気象庁の長期予報によりますと、今冬はラニーニャ現象時の特徴が現れる可能性があり、東・西日本を中心に冬型の気圧配置が強まることはもとより、ガス需要の高いヨーロッパにおいても、低温になる傾向が見られると予想されております。
これらの点から、下期において燃料価格等の上昇が想定されます。例えば石炭全日本CIFについて、下期は上期対比で1トンあたり25ドル程度上昇するのではないかと見通しております。以上のことから、下期収支は厳しい見方をしておりますが、安定供給の使命を果たしてまいります。
以上が2024年度第2四半期決算の概要です。今ほど申し上げた通り、冬場の高需要期にかけて、厳しい寒さも予想されており、燃料の需給動向や価格動向を注視しつつ、必要な供給力を確保し、電力の安定供給を確実に行うとともに、経営効率化に不断に取り組んでまいります。
引き続き、能登半島地震および奥能登豪雨により被災された方々に対する復興支援についてご紹介させて頂きます。
はじめに、お手元の資料「令和6年奥能登豪雨に係る災害義援金の寄付について」をご覧ください。このたび、当社グループ従業員を対象に募金を呼びかけ、多くの従業員から500万円を超える浄財が集まりました。会社側としても、従業員から集まった寄付金と同額を拠出し、併せて1千万円を超える金額を「災害義援金」として、本日、石川県にお届けしています。
続いて、電気料金メニューの対応です。甚大な被害を受けた能登地区の継続的な復興、能登の移住・定住人口の増加に貢献するため、被災地へ移住した方を応援する料金プランや、能登地域への新たな企業進出を促すような法人向けメニュー等を検討しています。具体的な内容が固まり次第、あらためて公表させていただきます。
このほかにも、既にご案内しておりますが、震災がれき(木質チップ)の火力発電所での混焼や、廃瓦となった能登瓦をコンクリート製品へ再利用する研究等を進めているところです。
さらに、被災地の未来を担う子供たちに、勇気と元気をお届けできるような復興イベント等ができないか検討しており、今後も能登の復興を支援する活動に取り組んでまいります。
今回の豪雨被害を受け、当社グループのスローガン「こころをひとつに 能登」の想いが、より一層、強い想いとなっています。
従業員からも「地域の一員として被災地の力になりたい」との声を多数受けており、被災地に延べ100人を超える社員を派遣して、日々、泥かきなどのボランティア活動にも取り組んでいるところです。
被災地の復興は長い道のりになると思いますが、北陸電力グループが「こころをひとつに」し、そして、能登の復興を願う全ての方々と「こころをひとつに」して、能登の復興支援を通じ、北陸地域の更なる発展に全力を尽くしてまいります。
私からの説明は以上になります。
発表資料はこちら(下記URLリンク)から
資料 2024年度第2四半期(中間期)決算について
https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24103001.pdf
資料 令和6年奥能登豪雨に係る災害義援金の寄付について
https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24103002.pdf