プレスリリース・記者会見

「2023年度決算」松田社長会見要旨

2024年4月30日
北陸電力株式会社


 本日は、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。  
 日頃、皆さまには、当社の事業運営に格別のご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。
 

 元日に発生した能登半島地震からおよそ4か月が経過しましたが、あらためて今回の地震によりお亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げます。
 今回の地震は、我々がかつて経験したことのない「未曽有の災害」となりましたが、当社グループでは、地震発生直後から、私をトップとする「非常災害対策総本部」を立ち上げ、「こころをひとつに能登」のスローガンのもと、電力復旧に全力で取り組んでまいりました。 
 まずは、復旧にあたり、協力会社や他電力の皆さま、国や自治体をはじめとした関係機関の皆さまに、多大なご協力をいただいたこと、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 
 今もなお、現場では復旧作業が続いておりますが、現在の状況についてご紹介させて頂きます。
 
 停電については、能登地域を中心に延べ約7万戸の停電が発生しましたが、これまでにお客さま設備の健全性が確認できない箇所を除いてほぼ全数の停電が復旧しています。
 一方、未だ応急復旧なところも多く、電柱の傾斜や折損等、3,000本を超える電柱の建替え工事が必要です。今後、長丁場になるかもしれませんが、自治体の復興計画等との整合を図りながら、最大限の施工力を投入して本格復旧を進めてまいります。
 
 また、七尾大田火力発電所では、石炭払出機の倒壊や、広範囲にわたるボイラー管の損傷等、甚大な被害が発生しました。
 現在、協力会社やメーカーと一丸となって復旧に取り組んでおり、順調に工事が進んでいおり、2号機については、この連休明けにも試運転に入ることができる見込みまで回復しています。1号機はもともと予定していた6月末までの定期検査期間内での運転再開を目指し、夏季の高需要期に間に合うよう着実に工事を進めてまいります。

 志賀原子力発電所は、原子炉施設の安全性には問題はなく、外部への放射能影響もありませんでしたが、変圧器やタービンなどの設備に損傷を受けました。現在、詳細な点検や原因分析を進めるとともに、今後、適切に復旧を進めてまいります。
 なお、原子炉建屋及び原子炉建屋内設備が健全であること、敷地内断層や地盤の変状等に異常がないことを確認しています。先日、原子力規制庁の皆さまにも現地を視察して頂き、志賀原子力発電所の敷地状況に係る当社の説明が概ね適切であることを確認頂いております。
 

 今回の地震により、当社グループの電力設備に甚大な被害が生じ、過去に例のない巨額の損失を被ることになりました。本格復旧には、まだまだ時間を要すると思いますが、引き続き「こころをひとつに能登」をスローガンに、グループ一丸となって復旧、そして地域の復興について全力で取り組んでまいります。

 それでは、「2023年度決算について」お手元の【資料1】に基づき説明させていただきます。
 
 はじめにスライド1の「販売電力量」ですが、 小売販売電力量は、242億2千万kWhと、前年同期に比べ20億6千万kWhの減少となりました。
 これは、電灯においては、記録的な猛暑による冷房需要の増加があったものの、新型コロナウイルスの5類移行に伴う外出機会の増加、省エネ・節電意識の高まり等により需要が減少したこと、電力においては、契約電力の減少に加え、工場の稼働が減少したことなどによるものです。
 また、卸販売電力量は、37億9千万kWhと、前年度に比べ26億4千万kWhの減少となりました。これは、卸電力取引所等への販売が減少したことによるものです。
 この結果、総販売電力量は、280億kWhと,46億9千万kWhの減少となりました。

 次にスライド2で「連結決算概要」について説明いたします。   次にスライド2で「連結決算概要」について説明いたします。中段の表をご覧ください。
 連結売上高(営業収益)は、8,082億円と、前年度に比べ93億円の減収となりました。これは、小売・託送料金改定による増収はあったものの、燃調収入の減少や総販売電力量が減少したこと等により減収となったものであります。
 連結経常利益は1,079億円と、前年度に比べ、2,016億円の増益となりました。
 一方で、後ほど説明いたしますが、能登半島地震に伴う北陸電力グループの設備復旧費用451億円を特別損失として計上しております。
 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は568億円、1,452億円の増益となりました。
 ちなみに、経常利益・当期純利益とも4年ぶりの増益、当期純利益においては3年ぶりの黒字となりました。
 
なお、主要諸元として、 為替は9.1円の円安ですが、燃料については、原油が前年度に比べ2割弱の低下、LNGが3割程度の低下、主力電源である石炭については4割強の低下となっております。

 スライド3およびスライド4「燃料諸元の価格推移について」をご覧ください。
 燃料諸元である「石炭」「LNG」とも、昨年はウクライナ侵攻以降、大幅に急騰しておりました。一方、本年は、価格が低下しております。従って、「石炭」「LNG」とも昨年は上昇局面、本年は低下局面ということが見てわかります。

 次にスライド5「燃料費と燃料費調整額の期ずれ影響イメージ」をご覧ください。
 燃料費調整額の諸元は、約半年程度遅れて反映されます。
 グラフの赤実線はその月の燃料価格です。青の点線は燃調収入の諸元になる燃料価格です。
 2022年度と2023年度を見ていただきますと、赤の燃料価格が2022年度に急騰し、2023年度にかけて下落していることがわかります。
 一方、燃調につきましては、約半年遅れで反映される仕組みでありますので、青線が赤線の後から上がって、後から下がることになります。
 2022年度は実際に我々が購入する燃料価格が上がりますが、それに見合う燃調は低いままなので、大きな期ずれ差損となります。2023年度は燃料価格が下がりますが、燃調収入となる燃調諸元が遅れて反映されるため、差益が生じることになります。2022年度はタイムラグ差損が350億円、2023年度は差益が440億円、合わせて前年比790億円の大きなものとなるものです。
 

 続いて、スライド6で、前年度からの連結経常利益の変動要因について説明いたします。
 まず、悪化要因につきましては、
  ・総販売電力量の減少により200億円程度、
 ・水力の発受電量の減少で60億円程度、
 ・水力・火力発電所修繕など設備関連費の増加等により50億円程度、
 一方、好転要因につきましては、
 ・電力市場価格低下に伴う、再生可能エネルギー交付金の増加による購入電力料の減少等で130億円程度、
 ・資材調達価格低減の工夫、日々の業務見直しなど、経営効率化の取組みにより160億円程度、  
 ・北陸電力グループ会社の利益増として40億円程度、  ・小売料金改定により1,000億円程度、  
 ・託送料金改定により200億円程度、  
 ・先ほどご説明した燃料費調整額のタイムラグとして前年度分が350億円程度、今年度分が440億円程度、計790億円程度であります。
 2023年度連結経常利益1,079億円は、高い利益水準ではありますが、燃料費調整額のタイムラグ440億円、電力市場価格の低下130億円などの、一過性の他律要因を除くと、500億円程度が実力の利益水準と言えます。

 次にスライド7で「令和6年能登半島地震に伴う設備被害」について説明いたします。
 資料に添付してある写真をご覧ください。いずれも、能登半島地震によって被害を受けた設備の状況写真です。配電、送変電、火力、原子力それぞれの設備に被害が出ているのが分かります。電気事業を行う上で、「電気をつくる」「電気をお届けする」ことの根幹の設備である、発電・送配電設備のいずれも甚大な被害が発生しております。

 次に、スライド8で「令和6年能登半島地震に伴う復旧費用」について説明いたします。
 能登半島地震により2023年度に計上した特別損失は、北陸電力グループ全体で451億円と、当社の歴史の中でも類を見ない極めて巨額な損失となりました。東日本大震災以降、至近の全国で大きな震災・水害が能登半島地震を含め6件発生しておりますが、その損失規模でも、東日本大震災を除けば最も大きな損失となっております。例えば、熊本の震災では100億円程度、福島沖地震でも200億円であります。
 設備の修繕に要する費用等として、451億円を2023年度特別損失に計上しています。
 
 まず、北陸電力で330億円
 主な内訳として、
 ・火力発電設備は、七尾大田火力のボイラー管、揚炭機など設備修理等により160億円程度、
 ・原子力発電設備は、志賀原子力2号機タービンや1号起動変圧器の修理等で130億円程度であります。
 次に、北陸電力送配電で116億円、主な内訳として、
 ・停電解消の応急復旧費用、70億円程度をはじめ、
 ・送電線支持物や変電所変圧器の修理等、30億円程度であります。
 これとは別に損傷設備の取替といった設備投資として、160億円程度を見込んでおります。
 内容は、
 北陸電力での石炭払出機の更新、志賀2号変圧器等で100億円、
 北陸電力送配電では、電柱の建て替え等で60億円を見込んでいます。
 なお、この設備投資160億円は、2024年度以降の減価償却費として計上されます。

 次に、スライド9で「2024年度業績予想」について説明いたします。
 業績予想について、まず、総販売電力量は、昨年の記録的猛暑だったことによる小売販売電力量の減少はあるものの、卸販売電力量の増加を織り込み、10億kWh増の290億kWh程度としております。
 連結売上高および利益予想について、燃調収入の減少などから、売上高は2023年度に比べ132億円減少の7,950億円程度、連結経常利益は、629億円減少の450億円程度、親会社株主に帰属する当期純利益は、218億円減少の350億円程度としております。

 次に、スライド10、連結経常利益の年度見通しの変動要因をご覧ください。
 2023年度の連結経常利益1,079億円から、
 悪化要因として、
 ・燃調タイムラグについて、2023年度の差益440億円と、2024年度の差益30億円との差額で410億円程度、
 ・火力定期点検や再生可能エネルギーなどの脱炭素推進関連の設備関連費増加等により、合わせて220億円程度であります。
 
結果、630億円程度の悪化を見込み、2024年度の見通しは、連結経常利益450億円程度となります。

 次に、スライド11で「2023年度配当および2024年度配当予想」について説明いたします。
 まず、2023年度期末配当については、前回1月31日お示しした通り、1株あたり7円50銭といたします。
 次に、2024年度の配当予想ですが、一昨年・昨年の赤字により大きく棄損した財務基盤の回復や、能登半島地震による震災損失からの回復を図りつつ、株主のみなさまの期待にお応えしていく観点から、中間を1株あたり7円50銭、期末を7円50銭、年間を15円とし、年間で7円50銭増配したいと考えております。 今後、能登半島地震からの本格復旧、そして震災からの地域復興に全力を傾注するとともに、更なる事業領域拡大に取り組み、北陸電力グループの総力をあげて、お客さま・株主をはじめとするステークホルダーのみなさまの期待に応えてまいります。

 以上が2023年度決算の概要です。
 

 続いて「北陸電力グループ新中期経営計画 2024年度アクションプラン」について説明いたします。
 【資料3】をご覧ください。
 当社グループは昨年、2023年度から2027年度の5年間にわたる新中期経営計画を策定しました。
 経営の3本柱である
 ① 安定供給確保と収支改善および財務基盤強化
 ② 地域と一体となった脱炭素化の推進
 ③ 持続的成長に向けた新事業領域の拡大
  を軸に、新たな財務目標を掲げて、目標達成に向けた施策を着実に進めてきました。
 そのような中で、中期計画の初年度に、令和6年能登半島地震に見舞われ、当社グループでも甚大な設備被害が発生して、多額の特別損失を計上することとなりました。
 そのため、今年度は、この経営の3本柱と財務目標を堅持しつつ、この度の震災を踏まえ、電気を安定的にお届けするという使命、北陸地域と共に歩んできた当社グループのDNAを再認識しながら、「2024年度アクションプラン」を策定しました。
 具体的には、1つ目の柱では「被災設備の本格復旧及び震災の知見を踏まえた災害対応力の更なる強化」2つ目の柱で「地域の脱炭素化推進とBCP対策を含めた自治体との連携強化」3つ目の柱では「復興を含めた街づくりへの貢献」など、経営の3本柱の取り組みを更に強化しました。
 この大きな震災を乗り越え、そしてこの体験を糧に、2027年度までの新中期経営計画の実現に邁進するとともに、さらにその先にある「北陸と共に発展し、新たな価値を全国・海外へ」という北陸電力グループ2030長期ビジョンで掲げたありたい姿の実現を目指し、グループの総力を挙げて更なる企業価値の向上に目指してまいります。
 そして、一日も早い能登をはじめとした北陸地域の復興を力強く支援し、更に活気あふれる地域の発展のため、厳しい変革【Change】の中でも、これを機会【Chance】と捉え、果敢に挑戦【Challenge】する3Cに一層取り組み、引き続き北陸地域へ貢献してまいります。
 2024年度アクションプランの概要については以上です。

 次に、当社および北陸電力送配電株式会社の役員等人事についてご説明いたします。
 お手元の【資料4】をご覧ください。
 本日開催の取締役会において、役員等人事について次のとおり内定しましたのでお知らせいたします。当社の役員等人事については、6月26日開催の第100回定時株主総会および株主総会終了後の取締役会を経て、正式に決定する予定です。
 また、北陸電力送配電株式会社の役員人事については、6月27日開催の同社の第5回定時株主総会および株主総会終了後の取締役会を経て、正式に決定される予定です。 
            
 次に、譲渡制限付株式報酬制度導入についてご説明いたします。
 お手元の【資料5】をご覧ください。
 本日開催の取締役会において、社外取締役を除く取締役および常務執行役員と執行役員を対象とした「譲渡制限付株式報酬制度」を新たに導入することを決議いたしましたのでお知らせいたします。
 
本制度の導入の趣旨は、取締役等の報酬と当社の業績および株式価値との連動性をより明確にし、中長期的な業績の向上と企業価値の増大への意識を一層高めることを目的に導入するものであります。
 なお、本制度については、6月26日開催の第100回定時株主総会でのご承認を経て、正式に決定する予定です。
 また、この制度は取締役等を対象としておりますが、経営層に近い一部の管理職に対しても経営への参画意識を一層高めるインセンティブとなるよう自己株式を活用した譲渡制限付株式付与を検討したいと考えております。
 

  私からは以上になります。


発表資料はこちら(下記URLリンク)から

資料1 2023年度決算について
    https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24043001.pdf

資料3 北陸電力グループ新中期経営計画 2024年度アクションプラン
    https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24043002.pdf

資料4 当社および北陸電力送配電株式会社の役員等人事
    https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24043003.pdf

資料5 譲渡制限付株式報酬制度の導入について
    https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24043004.pdf

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