原子炉内で核分裂により発生した熱を利用して炉内の水を沸騰させ、生じた蒸気でタービンに直結された発電機を回して電気をおこします。
タービンを回し終えた蒸気は、復水器で海水により冷却され、水となって再び原子炉内に戻されます。
志賀原子力発電所1号機、2号機
沸騰水型原子力発電所のしくみ
原子炉の中で、蒸気を作る沸騰水型軽水炉を採用しています。
志賀原子力発電所では、原子炉圧力容器の中で水を直接沸騰させて蒸気を作る沸騰水型軽水炉(BWR=Boiling Water Reactor)を採用しています。
原子炉圧力容器の中には、ウラン燃料と水が入っており、ウランの核分裂によって発生した熱は、燃料棒の間を流れる水に伝えられ、水は高温・高圧の蒸気になります。
この蒸気は主蒸気管によりタービンに導かれ、タービン・発電機を回して発電します。
タービンを回したあとの蒸気は復水器で海水によって冷やされ水に戻り、原子炉給水ポンプで再び原子炉圧力容器の中へ送り込まれます。
志賀原子力発電所2号機(改良型BWR)
改良型BWRは、安全性・信頼性のより一層の向上などをはかるため、これまでに培ってきた原子力発電所の建設や運転・保守の経験を踏まえ、国、メーカー、電力会社で開発実証された技術を集大成し、昭和50年代初めより十数年の歳月をかけて開発してきたものです。
① 原子炉圧力容器 | 燃料集合体、制御棒、気水分離器、蒸気乾燥器を内蔵している、厚さ17cmの鋼鉄製の容器です。 |
② 原子炉格納容器 | 万一の配管破断事故等により、原子炉設備から放出される放射性物質を閉じ込める役目をします。 |
③ 制御棒駆動機構 | 制御棒を燃料集合体の間に出し入れして原子炉の出力(核分裂の量)を変え、原子炉の起動、停止に使います。 |
④ 圧力抑制プール | 常時水を保有し、万一配管が破断した場合、もれた蒸気をプールに導き、大量の水で冷却凝縮し、原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制します。また、非常用炉心冷却系の水源として使用します。 |
⑤ 原子炉内蔵型再循環ポンプ | 原子炉圧力容器内の水を循環させ、その流量を変化させて原子炉の出力を変えます。 |
⑥ 復水器 | タービンを回したあとの蒸気を、海水で冷やし、水に戻します。 |
⑦ 原子炉給水ポンプ | 復水器を通った水は、給水ポンプによって再び原子炉に送られます。 |
志賀原子力発電所2号機の特徴
志賀原子力発電所2号機は、最新の沸騰水型軽水炉で、これまでに培ってきた国内外の原子力発電所の建設・運転・保守の経験を踏まえ、開発実証された技術を集大成した安全性・信頼性に優れた原子力発電所です。
主な特徴として、改良型中央制御盤、改良型制御棒駆動機構、原子炉内蔵型再循環ポンプ、鉄筋コンクリート製原子炉格納容器などを採用しています。
さまざまな改良が施された志賀原子力発電所2号機の先進システム。
大型表示盤の採用により情報を共有化し、的確な判断ができるよう配慮されています。
通常運転時の制御棒駆動方式を電動駆動とすることにより、連続して微調整が可能となり、運転性が向上します。
原子炉内蔵型再循環ポンプを採用することにより、再循環系配管がなくなり、安全性が向上します。
原子炉建屋と一体構造となる鉄筋コンクリート製の原子炉格納容器(鋼板内張)を採用しています。
志賀原子力発電所1号機(BWR)
志賀原子力発電所1号機
*1 復水器 | タービンを回した後の蒸気が、冷たい海水の通っているパイプに触れて水に戻ります。 |
*2 圧力抑制プール | 万一の事故の場合、格納容器内に排出された蒸気をプール水で冷却して格納容器内の圧力上昇を抑制します。また、非常用炉心冷却系(ECCS)の水源にもなります。 |
*3 制御棒 | 原子炉の出力(核分裂の量)を変化させるためのものです。原子炉の下から出し入れして、原子炉の起動・停止などに使用します。 |
*4 原子炉格納容器 | 原子炉圧力容器を格納し、万一の事故の場合でも外部への放射性物質の放出を防ぎます。 |
*5 原子炉圧力容器 | 容器は、高温・高圧に耐えるように鋼鉄でつくられています。 |
*6 燃料集合体 | 燃料ペレットを被覆管に入れた燃料棒を束ねたものです。 |
*7 再循環ポンプ | 原子炉内の水を循環させ、その水量を変化させて原子炉の出力を変えます。 |