富山電力部 送電保守課
高橋 京平
送電線トラブルを防ぐ巡視点検
送電線の巡視点検や保守作業を主に担当しています。送電線は、発電所で作られた電気を高い電圧で大量に、効率よく送る役割を果たしています。雷や雪など、自然の影響を直に受けるため、巡視点検は年に1回必ず行い、富山電力部の管内にある1,100基すべての鉄塔を実施。雪のない4月から6月頃にかけては特に山間部中心に回り、樹木などが近づいていないかを鉄塔に昇って確認します。送電線には高い電圧がかかっているため、たとえ接触していなくても停電に繋がる恐れもあるので、細かい部分まで確認を行い、的確な処置を取ることが求められます。
平地では、鉄塔基礎の点検や、鳥の巣なども停電のリスクにつながるため、そういった異常がないかを確認しています。送電線のトラブルは大規模な停電につながる可能性も高いので、点検は事故の未然防止には欠かせない重要な業務です。
非常時に備え、チーム力を磨く
山間部の巡視は基本二人一組で、一人が鉄塔に昇り、もう一人は付近の鉄塔の異常がないかを確認します。高い鉄塔は110mのものもあるので、安全を最優先に交互に作業を行うという役割分担を徹底しています。いざという時にチーム力が一番大事になってくるので、普段からの何気ない声掛けなど、コミュニケーションを何よりも大切にしています。
2018年1月にはその冬一番の寒気が流れ込み、前日から断続的に降り続いた雪が起因となって送電線の不具合が発生。私は8人の巡視班の一員に加わり、該当する送電線の地線(雷から送電線を保護する金属線)に着雪があることを確認しました。地線の雪を除去した上で、地線と電力線の離隔距離が確保されたことで、公衆災害の恐れがないことを確認しました。厳寒の中、昼夜を問わずメンバー全員が一丸となり取り組んだことで、仲間との連帯感と信頼感がより一層深まりました。
業務効率化ツールも積極導入
送電保守課では、新しいツールを使った業務の効率化にも積極的に取り組んでいます。鉄塔の位置情報を集約したスマホの専用アプリが道案内をしてくれるため、山間部などの地図に表示されない場所や地形が変わってしまった場所でも、迷うことなくスムーズに現地に辿り着くことができ、安全に巡視を行えるようになりました。
2018年からはドローンを導入し、巡視に活用しています。ドローンのカメラで平地からでも鉄塔上部の撮影を行えるので、人では不可能なアングルからも細部を確認でき、作業員数の削減と点検時間の短縮、そして点検の精度という点でも大きなメリットが生まれています。また、現場での点検データをリアルタイムで事務所と共有したい時には、クラウドサーバーを活用し、映像を見せながらビデオ通話で上司や先輩にその場で相談することができるので、以前に比べて作業効率は格段に上がっていると思います。
新会社となり、社名は変わりましたが、今までと変わることなく、みなさまに安定した電気をお届けするために全力を尽くします。「送電一家」のチーム力を磨き、業務の効率化にも積極的に取り組みながら、北陸の大動脈を守るという使命感を持って、日々の業務を全うしていきたいと思います。
使命を胸に。 高橋 京平