会議の様子 1
第26回原子力安全信頼会議
2024年10月21日、当社は原子力安全信頼会議を開催しました。
議事概要
1.日 時 2024年10月21日(月) 10:40~12:25
2.場 所 当社本店ビル
3.出席者
【委員】
石田委員長、大場委員、倉田委員、能木場委員、山口委員(計5名)
【当社】
松田社長、小田常務、福村常務、村田常務、藤田土木建築部長、放生志賀原子力発電所長、谷内地域共創部長、布谷原子力部長、古谷原子力本部専門部長、浜松総務・コンプライアンス推進部長、新開品質管理・原子力安全推進部長(計11名)
4.議事要旨
(1)北陸電力からの説明
当社から令和6年能登半島地震以降の志賀原子力発電所の現況および能登における地域活動の状況を説明し、質疑応答を交えてご意見を伺いました。
(2)委員からの主な意見
- 情報発信における危機管理として、様々な事象が発生した際の影響のリスクを適切に管理することに加え、企業の信頼を損ねるリスク(レピュテーションリスク)も考慮する必要があると感じた。火災や油漏れの件などは、結果として大事に至らなくても信頼を損ねるおそれがあるため、これら二つのリスクを念頭に情報発信の方法を整理し、対策を立てるべきである。
- 大きな地震が発生した際、福島第一原子力発電所の事故の経験から、全国の人々が津波の情報を知りたがっている。そのため、発電所における津波想定高さや敷地の高さと合わせて津波の状況を迅速に発信することが重要であるが、北陸電力にはその感覚が足りなかったのではないのか。情報発信問題が起きた背景の深掘りの中で、自分たちに何が足りなかったのかを丁寧に見てほしい。
- 避難を余儀なくされた地域の方が、震度7を記録した志賀町にある志賀原子力発電所の設備が損傷を受けたのではないかと大変心配していたと聞いている。そのような中で、公表した数値の訂正やタービンの損傷、油漏えいの話が伝わり、情報発信の遅れに対する不安も聞かれた。損傷の大小にかかわらず迅速に情報を発信することが地域の方々に安心していただくために重要ではないかと思う。
- 能登半島地震の際、電気事業連合会がホームページで情報発信を行い大変効果的だった。社内で情報をクローズするのではなく、業界内で外部への発信を一部担ってもらうなど、リソースを柔軟に活用することが重要だと考える。
- 東日本大震災の教訓では、政府の地震調査研究推進本部(推本)が出した津波高さの評価に対する事業者の感度欠如が指摘されていた。今回、北陸電力が推本が出した評価を踏まえ迅速に対応したことは大変重要であり、今後も引き続きしっかり対応してもらいたい。
- 能登半島地震をきっかけとして、原子力規制委員会で原子力災害時の屋内退避の運用について議論されている。原子力事業者、自治体、規制当局の取り組みの連携が大切である。原子力規制委員会での議論を踏まえた対応や事業者の重大事故対策が功を奏していることなどをタイムリーに発信することが信頼を築く上で重要だと思う。
- 原子力防災では、事業者、国、自治体それぞれが果たすべき役割を持つが、連携が不足しているのでないかと感じる。国が、あるアクションに関してその検討状況を発信した際、事業者もそれに応じて何らかの発信を行うことが重要である。これにより、防災が機能していることを地域の方々に理解してもらえる。また、事業者、国、自治体が連携して、防災や避難、屋内退避について対策を検討し、その有効性と実効性をメッセージとして発信することが重要である。
- 原子力災害時の避難の問題は、自治体だけの問題ではなく北陸電力としてどう対応するのかが重要である。北陸電力が地域と連携し、時に道路の整備などを国に要望することも重要ではないか。奥能登の復興にもつながる。地域の声を聞き、地域の防災に積極的に関与し、また連携することが重要だと思う。
- 能登の復興に対する北陸電力の様々な取り組みの紹介があったが、今後の人口流出対策として産業誘致が重要となる。例えば、電力を安く提供することで企業を誘致し地域に人を定着させるなど、電力会社だからこそできる取り組みを考えてほしい。
- フィンランドで高レベル放射性廃棄物の最終処分場を立地している自治体では、他自治体よりも高い固定資産税を徴収したり、法人税を減免したりして、持続的に安定した財源でまちづくりを行っている。日本においても、原子力発電所が立地する自治体は、そのような仕組みや国の交付金などを活用した「強靭なまちづくり」をキャッチフレーズにして、災害に強い地域づくりについて関係者間で議論を進めてはどうか。
- 北陸電力グループが甚大な設備被害を受けながらも、地域の復旧・復興に尽力していることに感銘を受けた。地域の信頼がなければ原子力事業は運営できないことから、災害復旧ボランティアなどの地道な活動を通じて地域の期待に応えられるよう引き続き頑張ってほしい。
- 原子力災害発生時の避難対策は今後ますます重要になると感じており、志賀原子力発電所の再稼働に向けて大きな課題になると思う。また、災害時における電力供給の重要性は地元の方々だけでなく全国の多くの人々が感じており、北陸電力は自信を持って電力供給や志賀原子力発電所の再稼働に取り組んでほしい。
5.社長総括コメント
当社は1月の能登半島地震で復旧に取り組んでいるなか、9月に奥能登豪雨に見舞われ、追い打ちをかけられる状況となったが、道路を修復しないと入れない場所を除いて全ての応急復旧が完了した。能登地域では若者の人口流出や文化・伝統の継承が大きな課題になっており、復旧だけでなく、復興についてもできることは何でも取り組んでいきたい。
能登半島地震の際の志賀原子力発電所での情報発信の問題については、原子力部門内で正確な連携・共有ができなかったことから、情報の文字化なども行い正確な連携を図り、周囲の他情報との齟齬がないかなど、常識的な判断も含め確認するよう努めていく。また、SNS上の誤情報についてはタイムリーに対応しないと拡散されてしまうことから、地域の方々の安心につながる安全情報を早期・積極的に発信していく。
更には、地震時の避難の問題がクローズアップされており、国や関係機関とも連携しつつ、事業者として何が出来るのかを考え、国や自治体の施策も含め地域の皆さまへ説明していくこともしっかり対応していきたい。
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